職員の意欲、市民サービスの低下懸念
かきた有一議員が質疑
9月市議会でかきた有一議員は「川越市一般職の職員の給与の臨時特例に関する条例を定めること」について質疑しました。
今回の給与削減は、いま行なわれようとしている消費税増税などを正当化するため、平成24年度から2年間国家公務員給与を平均7・8%引き下げたことを受けてのものです。
道理のない削減押し付け
地方公務員の給与は自治体が独自に決めるもので、国家公務員や社会情勢への適応をはかる必要があることなどから人事院勧告を受けて行なうこととされています。しかし国は勧告を行なわずに引き下げを強行し、地方には交付税を一方的に削減することで自治体に給与削減を事実上強制しました。
かきた議員は、今回の削減の法的根拠、過去に川越市では人事院勧告によらずに給与改定したことがあるか問いました。市は、地方公務員法に規定されている均衡原則・情勢適応原則が根拠とし、勧告によらない給与改定はおこなったことがないと答えました。
かきた議員は、人事院勧告制度では民間と公務員の給与調査・比較を経て給料表や諸手当は検討されることを示し、元になる調査や勧告なしに均衡・情勢適応の判断ができない矛盾を指摘、法治国家として許されないものと語りました。
生活成り立たなくなる
経済にも大きなマイナス
削減内容は、主事補、主事級で4・77%、主査、主任級7・77%、管理職は9・77%などとなっており、最も影響の少ない主事補(手取り給与月額15万円程度)で月額約6800円、最も大きい部長級で月額約5万6200円、総額で4億4千万円の削減です。
職員の士気や地域経済への影響を問うと、市は「職員にとっては実際に給与が減ることになる。職員団体と交渉を重ね期間や減額対象に配慮し妥結した。職員には理解と協力をお願いしたい」としながらも、「市民サービスに影響を与えないため。減額の主旨や期間が限定的で市内経済への影響は少ない」と答えました。
かきた議員は、経済対策ともなっている住宅改修費補助金制度は1500万円の予算で4億2千万円の経済効果となっているが、この施策が打ち消されるものであり、経済に大きな影響を与えると指摘しました。
独自の判断ほぼ無し
すでに十分給与が低い自治体では今回の給与削減は行なわない自治体や、独自の判断で減額の内容を圧縮するなどの自治体が多く、埼玉県も手当てなどを国の要請より縮小するなど対応をしています。また、飯能市など議会で給与削減が否決される例も生まれており、自治体独自の判断が注目されています。
かきた議員は、今回は臨時の対応であり今後の給与に影響するものでないこと、職員削減で負担も増えていること、国から交付税を削減された分は行政努力で生み出せる財源があることを指摘し、給与削減は見送れるのではないかと問いましたが、市長は国に対する遺憾の意を示したものの、ほぼ国の示すままの内容での給与削減を、「多くの自治体が苦渋の選択をしていることを考えると対応せざるを得ない」と答えました。