indexへ戻る前へ戻る

トピックス

どうなる?公的保育A 保育の願いに逆行する厚生労働省案

 二十四日、厚生労働省の社会保障審議会少子化対策特別部会は「新たな保育の仕組み」を導入する改悪案(第一次報告)を決定しました。導入されるとどうなるのか詳しく見てみます。
 現行の制度では、保護者の希望を尊重しながら、市町村が保育所を決めています。しかし新制度では、市町村は保育の必要性や量を認定するだけ。利用者は「自己責任」で保育園と契約します。
 十二月に厚生労働省が出した案では、保育費補助は保育園ではなく「利用者」に出され、保育料の徴収も市町村ではなく各保育園が行うとされていました。
 しかし、「保育料を払えない人への対策が大変になる」「パートで働く人は働いている時間しか補助が受けられなくなる」などの懸念が保育現場から強く出されたため、第一次報告では盛り込まれず、今後の検討に委ねられました。
 また、「保育には国と自治体が責任を持つべき」との世論で、当初案にはなかった「公的責任の強化」「公的保育の保障」などの文言が盛り込まれました。しかしこれは字句の手直しにすぎず、制度改変の中身そのものを変えたわけではありません。
 今回の改悪で、自治体の保育実施義務はなくなり、自治体は保育所の整備計画をつくったり、基盤整備をしたりする役割しか持たなくなります。結局は、企業などの参入を促すため、園庭や調理室の必置義務、保育室の面積基準などの最低基準を緩め「質を下げて保育所を増やす」という方向に進む危険があります。
 「安心して預けられる保育所を増やしてほしい」という子育て世代の切実な願いに逆行する改悪案に、保育現場からも保護者からも「絶対に許さない」と大きな運動が巻き起こっています。

 保育は託児ではありません。子どもたちの成長に合わせた保育計画を立て、一人ひとりの生活の場としてきめ細かな対応が必要です。このため、親の就労状況にかかわらず同じ条件で生活を共にする保育がおこなわれています。
次回へ続く)

ページトップへ